2015.08.20 檸檬
逍遥
カッパのそぞろ歩きです。〈第十七話〉


憧れの本屋さん
梶井基次郎「檸檬」がぁ…。



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 「私」は体の不調なとき、美しいものに心を惹かれたり、ちょっとした贅沢をしてみたくなる。そんなときは、丸善に行って、香水や煙管や小刀や、いろいろ小一時間もかけて見たあげく、一番高い鉛筆を一本だけ買ってみたりするのだが、最近ではその丸善に行くのも気が重く避けるようになっていた。ある日、檸檬を買った。ちょっと不思議な感じの八百屋で買ったその檸檬は、特にめずらしいものではないのだが、単純な色彩、寸詰まりな紡錘型、ひやりとした触感や香りなどが「私」の心を弾ませた。「私」は檸檬を眺めながら町を歩き、気付くと丸善の前にいた。普段は気が重くて避けていた丸善だったが、檸檬のおかげで気分が良く、思い切って入ってみることにした。ところがやはり、入った途端に気が重くなった。その気の重さを紛らわそうと、片っ端から本を取り出しては出しっぱなしにしてまた次の本を引っ張り出してと繰り返した。しかし、いっこうに気鬱が晴れない。そこでふと「私」は一計を案じた。棚から取り出した本を山積みにして、その一番上に檸檬を置いて丸善を出たのである。その檸檬が爆発したりしたら面白いのに。そしたら、あの気鬱な丸善も木っ端微塵になるのにな。



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丸善京都本店、10年ぶりの復活。
 大阪市出身の梶井基次郎氏は31歳の若さで亡くなりましたが、井伏鱒二や吉行淳之介、開高健など世代や個性の違う多くの作家たちから高く評価され、三嶋由紀夫の書評は「梶井基次郎はこれだけ読め!」の帯にまで引用されています…。そんな彼の代表作「檸檬」…。その名作の舞台となった「丸善 京都本店」が復活しました!!


梶井02

「丸善京都本店」は、初代となる店舗が1907年に京都三条通麩屋町で開店。近代文学の名作「檸檬」において主人公が立ち寄り積み重ねた本の上にレモンを置いて何食わぬ顔で去るというラストシーンの舞台として有名です。店舗は河原町通蛸薬師へと移転するのですが、2005年に閉店しました。当時、閉店を惜しむ文学ファンたちが、ラストシーンを真似てレモンを置き去っていったと話題となりました…。

檸檬にちなんだ企画が…。
 8月21日に10年ぶりの復活を果たした書店「丸善京都本店」は、梶井基次郎の小説「檸檬」の舞台であったことにちなんで、店内にレモンを置くためのカゴを設ける等、開店後は「檸檬」の文庫本を平積みするなど同作に関するさまざまな企画を展開するそうです!!


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MARUZEN caféでは…
 丸善の創業者早矢仕有的が考案したと言われるハヤシライスや「檸檬」にちなんだ丸善京都本店限定の「レモンのスイーツ」も楽しむ事ができるそうです。また一つ、京都の楽しみが増えました!!



 



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